日本のハムソーセージのはじまり

はじめて食べた日本人日本の国旗

 わが国でのハムソーセージに関する歴史は非常に浅いです。元来獣肉を食べる習慣がなかったからでしょう。誰が最初に食べたのかは幕末まで正式な情報がありません。あくまで想像珍説に過ぎませんが、遣唐使の時代、中国にはすでにハムがありましたから、彼らが食べた可能性は高いと思われます。信長は外国好き。彼の元には西欧人が大勢訪ねていますから、おみやげに貰っているはずです。水戸黄門説もあります。それは彼の旺盛な好奇心と雑食にあり、家来に作らせたのかも知れませんが確証はありません。

 文献で知ることができるのは幕末。ハムは臘干(らかん)といわれ、ソーセージも長崎オランダ屋敷では作られていましたので、出入りの日本人商人も食べていた筈ですが、確認できるのは遣米使節団の一人森田岡太郎の日記にハワイで食べたとあるのが正式には日本人初とされます。

はじめて作った人日本の国旗

 これも明確ではないようです。江戸時代には野豚のハムがあったらしいのですが、誰が作っていたかは不明です。

 正式ハムソーセージ発祥の地は長崎。明治5年に天皇に献上されています。浦上の松本辰五郎が中国人から、中村健吉の親がオランダ人から、片岡伊右衛門がアメリカ人から製法を教わるうちに、片岡伊右衛門は工場を作ったとされています。

 明治6年、北海道開拓使が開拓民の食糧事情改善策の一環に、パンと食肉加工品を奨励し製造を始めています。明治10年、イギリス人ウイリアム・カーチスが神奈川戸塚の自営ホテル白馬亭でハムソーセージ作りを始めました。これが好評で、製法を真似たり、盗み取ったりがあったようです。これをハムとして確立したのが斉藤万平と益田直蔵という二人。いずれもカーチスの製法を受け継いだものです。明治時代は長崎・北海道・神奈川が三大産地でしたが、品質は未熟なものだったようです。

 大正時代が本格的なハムソーセージの始まりといえましょう。上等の欧米輸入品が本格的に入ってきたのが第一次大戦後。そして日本に収容されたドイツ人捕虜等による最新製法の導入がきっかけです。当時習志野の収容所捕虜の中には5人のハムソーセージ技術者がおりました。

 カール・ヤーン 5人の中で最も優れていたので農林省が彼を開放し、日本人に教習させました。

博士
鉛筆 博士