日本のハムソーセージの発展
昭和のはじめにはソーセージの缶詰が発売され、銀座にハムソーセージの専門店がオープンするなど、ハムソーセージは少しずつ日本人にも広がってきました。しかし、豚以外のウサギや牛を混ぜた廉価商品が出回るなど、価格的に手の届くものが開発されても、一般的にはあまり馴染みのある食べ物になれなかったようです。また、戦時色が強まるにつれ、影が薄くなってしまいました。
戦後、わが国のハムソーセージは大発展を遂げることになります。ひとつはいろいろな材料を駆使したプレスハムなど代用食物需要への貢献であり、もうひとつは魚肉ソーセージの登場です。いずれも日本独自のもので、魚肉ソーセージ登場のきっかけは、1954年のビキニ環礁水爆実験による汚染事件。まったく売れなくなっていたマグロ。これの活用にソーセージ屋や漁業会社が目をつけました。マグロをかまぼこ材料にして、それに豚の油を加えソーセージ風の見栄えと味付けにしてみたのです。これが当たりました。また同時に食の欧米化が進み、時代の波に乗ることになりました。
その後、雨後の竹の子のようにメーカーが乱立し、製造方法や原料中身添加物が分からない、いい加減なものまで流通しはじめてしまいます。そこに出てきたのがJAS規格で、お役所による整理分類で日本独特なものです。現在も規格は存在するものの、今ではあまりお目にかからないような気がします。
日本が豊かになり、生活スタイルの個性化が進む今日は、ハムソーセージはごく当たり前のどこにでもある身近な大衆需要品になっておりますが、一方ではグルメの時代。海外旅行ブームや豊富な情報による料理の多様化や多彩な外食チャンスは、より贅沢なものとバラエテイを求める人たち、プロの料理家も増やしています。
また輸入規制の緩和が生ハムなど日本では作るのが難しい商品の新たな需要も生み出しました。これからも世界中から個性あるものがどんどん登場してくるに違いありません。
日本独特のハムソーセージ文化
- ● お母さんの作る弁当には赤いタコウインナー。
- ● 喫茶店のママ手作りのホットドッグもウインナーでした。
- ● 定食屋のハムカツの中身は赤いプレスハム。
- ● ソーセージをドーナツミックスで揚げたアメリカンドッグはなぜアメリカンだったのでしょう。今でもどこかの縁日で見られるかもしれません。
- ● おやつ代わりの魚肉ソーセージの丸かじり。
- ● 食卓によく出てきたケチャップ味のウインナーのキャベツ炒め。
- ● スパゲティポリタン(これも懐かしい!)には何故かウインナーが入ってました。


