世界のハム・ソーセージ黎明期
大昔、人類は狩猟で生活していましたね。でも毎日そう獲物に恵まれるとは限りませんし、すぐに食べてしまわないと腐ってしまいますから、長持ちさせるうまい方法を考えたのです。塩漬 乾燥 くん煙 凍結 冷蔵などが自然に発見されました。これら保存の方法にもっと美味しく食べるための知恵がプラスされたのがハムソーセージですがこの世に現れるのはずっと後のこと。でも大昔です。
紀元前7000年前から豚が家畜として飼われはじめます。古代貴族の食料です。今から3500年前頃には、バビロニアやエジプトでハムソーセージらしきものが食べられていました。アメリカインディアンも食べていたようです。中国では4800年前から豚が飼われ「 」(はん)というハムソーセージが作られました。
この「 」(はん)がハムの語源とする説があります。いずれも単純な調法でインディアンは乾燥肉をローリエを砕いてパンに入れており、古代ローマ人はパイナップルや胡椒を混ぜていました。いずれも戦いなどのための非常食と思われます。
肉を動物の腸に詰める方法は2500年前頃のようです。十字軍がヨーロッパ各地に広めました。ハムソーセージ作りは長く西ローマ帝国で発展したのですが、十字軍に従軍した戦士達が製法を故郷に持ち帰り、風土や習慣に合わせたいろいろな種類を考案したのです。ソーセージに地名が多いのはそのせいです。フランクフルト ウインナーなどがお馴染みの代表です。
中国でも10世紀宗の時代に金華火腿が考案されました。杭州名産のそれです。その後民族の移動や移民などを経てハムソーセージは世界中に広まり、地方風土が独特の味や形、楽しみ方を育てたのです。長い間ハムソーセージは農家や食肉店で作られてきましたが、本場といわれるドイツでさえも、今日は工業化されたものがほとんどのようです。ところで、何で豚なのか、お分かりでしょうか。それは豚は農耕労務に役立たないし、馬のように戦いに使えない、牛やヤギのように乳を出さないと、人間に食べられるだけの役割しかないからだといわれます。妙に納得させられますね。